吸血鬼の父フォン・クロロックと娘エリカ、美少女、花の18歳。
クロロックは、ミス・ネックレス・コンテストの審査員となった。
会場でクロロックとエリカは、「冷気」と「殺意」を感じ取った。
クロロックは、ミス・ネックレス・コンテストの審査員となった。
会場でクロロックとエリカは、「冷気」と「殺意」を感じ取った。
吸血鬼は初恋の味
主人公のフォン・クロロックはトランシルヴァニア出身の正統な吸血鬼。そして、クロロックと前妻(日本人)の間に生まれた娘エリカ。
吸血鬼としての特殊能力をもつ美少女、花の18歳ヴァンパイアである。
フォン・クロロック、普段は“クロロック商会”の雇われ社長。
クロロックの妻涼子。エリカより年下で、かなりのやきもちやき。
男は停年を前に、何をしたらよいのか漠然とした不安を抱えていた。
須川雄介、もうすぐ60歳、仕事一筋で、趣味もない。
もう10時を過ぎている。
地下鉄は、もうラッシュアワーを過ぎて、それでも座席は埋まっているので、須川は地下鉄の扉の傍に身をもたせかけて、立っていた。
少しして、近くの空席に腰をおろして、眠ってしまう。
目が覚めると、12時ぴったり、乗客は1人もいない。
やがて窓の外が明るくなると、車両の中に1人の少女が立っていた。
「私のこと、覚えてる? 須川君」
「ああ、覚えてるとも! しのぶ君だ。 浅井しのぶ君じゃないか!」
「良かった。 覚えててくれたのね」
「忘れるもんか!」
「いつも、須川君のこと、思い出してたわ。どうしてるかな、って」
「君が? だって君は-クラスの人気者だったじゃないか」
「いくら人気があっても、愛せる人は1人しかいないわ」
…
「私-須川君のことが好きだったんだ」
「何だって?」
「君が僕のことを?-まさか」
「あら、どうして? あなた、私のことなんか、目もくれなかったじゃないの」
「そうじゃない! 君に嫌われるのが怖くて、声をかけられなかったんだ。僕の初恋の人は君なんだよ」
しのぶが立ち上がって離れる。まるで見えない糸に吊られているように、しのぶは滑るように遠ざかっていった。
須川の娘、弥生はエリカの大学の友だちであった。
弥生はむつかしい顔で、エリカの父フォン・クロロックに相談したのだった。
初恋の少女とはいったい何なのか?
<ミス・吸血鬼に幸いあれ>に収録 >>本をみる
ミス・吸血鬼に幸いあれ
父クロロックは、エリカを道で見つけ声をかけた。「-どうしたのよ」
「いや、すまん」
「何もってるの?」
「何か拾ったの?」
「馬鹿を言うな。これは写真のアルバムだ」
「何の写真?」
「それだ」
「は?」
「これを、お前が持って、家へ入ってくれんか」
「いいけど。どうしてお父さんじゃいけないの?」
「それはまあ-色々ある」
「何なの、これ?」
クロロックは広告代理店にたのまれて、ミス・ネックレス・コンテストの審査をすることになったのだった。
どの子も大体20歳前後。一見して、可愛い子ばかりである。
クロロックの妻涼子は、かなりのやきもちやきのため、エリカに家に持って入って欲しいと頼んだのだ。
しかし結局、涼子は目をつり上げて、クロロックを追い回していた。
「私を裏切るのね!」
「誤解だ! これはあくまで仕事で-」
「嘘おっしゃい! さっきもニヤニヤしながら写真を眺めてたじゃないの!」
「いや、それは光の加減でそう見えただけで…」
早々に、その場を後にするエリカだった。
そして、このコンテストは、<ミス・吸血鬼コンテスト>と命名された。
その会場で、クロロックとエリカは「冷気」と「殺意」を感じ取ったのだった。 >>本をみる
吸血鬼、タクトを振る
エリカの大学の友だち、沢井久美子はヴァイオリンケースを抱え、急いでいた。「でも-もうだめだ!」
「何をそんなに急いでるの?」
「今日、私の所属しているオーケストラのリハーサルなの」
「2時からなんだけど、乗ったバスが大渋滞で遅れて、走ってきたの。でも、もう間に合わない」
「あと、3分あるよ。少しぐらい遅れたって大丈夫なんじゃないの?」
「それがだめなの。いつもなら30分だって平気なんだけど、今日は高倉紳介だから、指揮者」
…
「お父さん、私の友情のために一肌脱いでよ」
偶然、久美子を見つけたエリカは、父フォン・クロロックに頼んだのだった。
クロロックは久美子を背におぶさって、猛然と駆け出していった。
この後、リハーサルを見て帰るクロロックとエリカだった。
それから10日程たった。
今夜は、エリカと、親友同士の大月千代子、橋口みどりの3人、ちょっと洒落たレストランに来ていた。
そこで、久美子とトランペットの男性を見かける。
そして、レストランの外で、鋭い悲鳴が響き渡った。
駆け寄ったエリカが見たのは、喉を引き裂かれた、トランペットの男性であった。
何が喉を引き裂いたのか?
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